薬剤学研究室
がん征圧を目指したドラッグデリバリーシステム
ご挨拶
おくすりは、目的の場所に、目的の時間、目的の量が送達されることが大切です。例えば、抗がん剤が病巣部位であるがん細胞にのみ到達すれば良いのですが、実際は、血液を介して、全身に分布してしまいます。したがって、毛根細胞に影響を与え、髪の毛が抜けたり、腸の細胞を破壊し、下痢をしてしまうなど、様々な副作用を引き起こしてしまいます。
そこで、目的とする薬物を、目的とする量、時間到達させる方法を多方面から研究しています。このシステムをドラッグデリバリーシステム(DDS)と言います。
具体的には、抗体を用いたDDS開発の研究ならびに、次世代治療である遺伝子治療における遺伝子導入法の開発を行っています。
研究概要
がん血管を標的としたがん治療
がん組織はがん細胞だけのかたまりでありません。がんの生命活動に必要な栄養や酸素を摂るための血管が、がんの組織内はたくさん分布しています。この血管はがんにとってのライフラインであるので、がんの血管を破壊することができれば、がんは栄養や酸素を撮ることができなくなり、死滅してしまいます。
そこで当研究室では、正常な血管には反応せず、がんの部位の血管にのみ結合する抗体を作製し、この抗体に細胞死を誘導する薬物を結合させた「がん血管を標的としたがん治療薬の開発」に関する研究を行っています。
新たな遺伝子治療への基盤研究
これから大きな発展が期待される先端医療の一つに「遺伝子治療」があります。すでに医学においては世界各国で遺伝子治療が試みられており、今後さらに進歩するものと考えられます。この治療法では、遺伝子等が治療手段として用いられることになるため、従来の薬、すなわち化学合成された有機化合物を中心としたものとは異なった医薬品の発想が求められます。遺伝子等を的確に細胞の核内に送り込むための方法・技術の確立には多くの課題があり、私たちは、遺伝子を運ぶ運搬体(遺伝子キャリアー)としてウイルスベクターを研究しています。結果の1つとしてアデノウイルスベクターは細胞内へ遺伝子導入の効率が高いことが明らかになってきましたが、より安全で有効性の高いベクターを目指して検討を重ねています。
教員紹介
小泉 直也 准教授 / 学位:博士(薬学)
- 研究分野:新たな遺伝子治療戦略への基盤研究
- 担当科目:製剤学(3年次)
薬物送達システム(4年次)
医薬品開発と生産(4年次)
製剤学実習(4年次)
勉強も研究も知的好奇心を刺激してくれるというところは共通点です。ぜひ恥ずかしがらずに好奇心を全開にして取り組んでください。そうすれば苦手な科目も楽しくなってきます。
研究活動も一人一人が楽しむということを最優先で指導しています。もちろん自分が一番楽しんでいます!
野村 鉄也 講師 / 学位:博士(薬学)
- 研究分野:がん微小環境を標的とした新しいがん治療法の開発
- 担当科目:製剤学(3年次)
薬物送達法(4年次)
製剤学実習(4年次)
医薬品開発と生産(4年次)
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