公務員 山本 愛菜 さん
保健所での仕事を考えるようになったきっかけは、衛生の科目が好きだったからです。衛生は日常に直結しているものですが、それを化学の視点で見ることに面白みを感じていたところ、実務実習で神奈川県の行政職に就かれていた方に出会い、話を伺ううちにその興味が増していきました。
現在は、静岡県富士保健所で、県の職員として管轄地域の生活衛生を守る業務に携わっています。数年に一度異動があり、東部保健所、環境衛生科学研究所勤務を経て、富士保健所へ移ってきました。仕事内容は所属部署によって異なりますが、富士保健所では営業六法(旅館業法、公衆浴場法、美容師法、理容師法など)や温泉法などの許認可を担当しています。静岡県の薬剤師は、生活衛生や薬事衛生、食品衛生、水道衛生、環境衛生、試験検査などを担当します。薬剤師が関わる範囲は多岐にわたり、在籍中に全てを網羅しきれないのではと思うほどです。
行政というと、デスクの前からほとんど動かず、一日中書類仕事ばかり行っているイメージがあるかもしれません。ですが実際はあまり所内にいることがなく、海水浴場調査で船に乗って海水を採取したり、野山で違法な植物を除去したり、生活衛生監視のため富士登山をしたりするなど、フィールドワークが仕事の多くを占めます。
また、この仕事は日々、法律との格闘です。法律に基づいて業務を進めるため、異動の度に新しい法律を理解する必要がありますし、法改正への対応も必須です。そんな中でも楽しさがあり、思わぬところで法律が繋がっていたり、法律が枝分かれした経緯を知れたりするなど、常に驚きと発見の連続です。薬剤師というと、多くの方が病院や薬局勤務を思い浮かべるかもしれませんが、実際はそれだけにとどまらず、今はあらゆる場面で必要とされていることを実感する日々です。
静岡県 富士保健所
衛生薬務課