動脈硬化性疾患の分子病態解析と創薬基盤研究

文部科学省の「学術研究高度化推進事業」に本学の研究プロジェクトが採択されました

このプロジェクトは、わが国をはじめ先進国で症例の多い動脈硬化性疾患の病態解明と治療薬の基盤研究を推し進め、 医療と薬学の発展に貢献することを目的としています。文部科学省からプロジェクト推進に必要な総合的支援を受け、本学研究室の 英知を結集して難病克服に挑戦します。

プロジェクト名 動脈硬化性疾患の分子病態解析と創薬基盤研究
研究期間 平成19年度~平成23年度(5年間)
研究内容 病態の解明 血栓(※1)の形成と溶解、動脈硬化の発症、そして脳梗塞後の中枢神経障害の鍵を握る生体分子(※2)と病態との関係を解明します。
創薬基盤研究 鍵となる生体分子を目標とする低分子化合物のスクリーニング(※3)、リガンド設計(※4)、合成、最適化を通して、 動脈硬化性疾患を予防・治療する医薬品を開発するための創薬基盤研究を展開します。
研究組織 サブグループ1 生命科学系の研究者が、血栓形成に関わる酵素TAFIと血栓症の分子病態解析に取り組むと同時に、副作用が少なく、血栓を予防・治療する薬物の創薬基盤研究を展開します。
サブグループ2 基礎研究者と臨床研究者が緊密に連携し、心筋梗塞や脳血栓を引き起こす動脈硬化が、どのような要因で発症するのか解明し、動脈硬化の予防と治療に向けた新しいアプローチを探ります。
サブグループ3 中枢神経障害の病態解析や薬物代謝酵素の研究者が一酸化窒素(※5)の生理作用に着目し、標的分子の病態解析を行う一方、NOによる機能異常を抑制する薬物の開発基盤研究を推進します。
サブグループ4 1~3グループと連携し、各研究者が得意とする分析技術、分子設計技術、有機反応技術を駆使し、標的分子に効果的に作用する生理活性物質を探索、合成する創薬基盤研究に取り組みます。
  • ※1 血栓:血管内にできた血の塊
  • ※2 生体分子:生命活動を営むためのタンパク質、脂質そして、糖などの分子
  • ※3 スクリーニング:多くの化合物から有効な物質を評価、選択すること
  • ※4 リガンド設計:標的分子に結合し、その活性を制御する物質の構造を設計
  • ※5 一酸化窒素(NO):血管を拡張し、血流量を増やす物質。近年、中枢神経障害や高血圧への関与が示唆されている

研究プロジェクトの概要

石井秀美
Hidemi Ishii

プロジェクト代表
ハイテクリサーチセンター長・教授

動脈硬化性疾患の克服をめざして

わが国は本格的な高齢化社会を迎え、心筋梗塞や脳梗塞に代表される動脈硬化性疾患の予防・治療薬の開発が急務となっています。 動脈硬化性疾患は硬化巣が破綻し、血管内に血栓ができることで発症しますが、有効で副作用の少ない治療薬がないのが現状です。私たちは、TAFI 酵素が血栓形成に関わっていることに着目し、その活性を阻害する物質を合成。動物実験で十分な血栓溶解作用を示すことを実証しました。  本プロジェクトは動脈硬化の病態を分子レベルで解明し、見出した化合物を薬剤として最適化することを目標としています。本学の大学院薬学研究科には、分子病態や創薬研究等の分野で輝かしい実績をもつ研究者が多数在籍しています。今後、新棟のハイテクリサーチセンターに導入される最先端の研究設備を活用し、プロジェクトを成功に導きたいと考えています。