お知らせ・トピックス

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07.23(THU)2026

PPARサブタイプ選択的作動薬による脂肪肝トリグリセリド組成リモデリングの解明(Biomolecules誌に掲載)

当研究室における研究「Selective Pharmacological Activation of PPARα/δ/γ Alters the Triglyceride Composition of Fatty Liver in a Diet-Induced MASLD Mouse Model」が、MDPIの学術雑誌Biomoleculesに掲載されました(2026年7月23日)

代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、世界的に患者数が増加している慢性肝疾患であり、進行すると肝硬変や肝がんへ発展する可能性があることから、その病態解明と新たな治療法の開発が重要な課題となっています。これまでMASLDでは、肝臓に蓄積する中性脂肪(トリグリセリド:TG)の総量が主な評価指標とされてきました。一方、TGは脂肪酸の組み合わせにより数百種類以上の分子種から構成されており、個々のTG分子種の変化が病態形成や薬剤応答に影響する可能性が注目されています。

本研究では、「脂質の量」だけでなく「脂質の質」に着目し、早期MASLDモデルにおけるTG分子種組成の変化と、PPARサブタイプ選択的作動薬による影響を解析しました。高脂肪・高コレステロール食(HFCC)とシクロデキストリン(CDX)を用いて作製したMASLDマウスモデルを対象に、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)による肝TG分子種解析を実施しました。さらに、PPARα作動薬ペマフィブラート、PPARδ作動薬セラデルパー、PPARγ作動薬ピオグリタゾンを用い、各薬剤が肝TG組成に及ぼす影響を比較しました。その結果、MASLDでは肝TG総量が約5倍に増加するとともに、多価不飽和脂肪酸(PUFA)を多く含むTG54群の増加やTG52群の減少など、特徴的な脂質プロファイル変化が認められました。また、3種類のPPAR作動薬はそれぞれ異なるTG分子種変化を誘導しました。ペマフィブラートおよびセラデルパーでは肝TG総量に大きな変化は認められないものの、特定のTG分子種が選択的に変動しました。一方、ピオグリタゾンでは肝TG総量を約44%低下させるとともに、PUFA-rich TG54の減少やTG56・TG58分子種の増加など、顕著なTG組成変化が観察されました。

本研究は、PPARサブタイプの違いによって脂肪肝に蓄積するTG分子種が異なる方向へリモデリングされることを明らかにしたものです。脂質量のみでは評価できない脂質分子種レベルでの解析の重要性を示す本成果は、MASLDの病態理解を深めるとともに、脂質組成の改善を指標とした新たな治療戦略や創薬研究の発展に貢献することが期待されます。

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