お知らせ・トピックス

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04.21(TUE)2026

既承認PPARα/δ/γサブタイプ選択的アゴニスト3種の併用投与による早期代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)治療効果(Biomed Pharmacother誌に掲載)

当研究室における研究「Combination therapy with clinically approved PPARα/δ/γ subtype-selective agonists pemafibrate, seladelpar, and pioglitazone in a 4-week diet-induced early-stage MASLD mouse model」が、Elsevirの学術雑誌Biomedicine & Pharmacotherapyに掲載されました(2026年4月21日)

現在、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の患者数が世界で激増していますが、その治療薬として承認されたものは、未だResmetiromとSemaglutideの2つしかありません。もちろん、全世界の製薬会社が全力を挙げて開発をしているところですが、その中で現在最も有望と考えられている薬剤の1つに、遺伝子発現調節を介して代謝全般を統括制御するペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α/δ/γ(PPARα/δ/γ)を標的とするものがあります。3つのサブタイプはそれぞれ異なる代謝調節をすることから、それらの複数に作用するPPAR dual/panアゴニストが多く開発されてきましたが、その殆どが無作用あるいは重篤な副作用のため、臨床開発を断念されてきました。そこで我々は、承認済みで安全性が担保されたPPARα/δ/γ選択的アゴニスト(Pemafibrate、Seladelpar、Pioglitazone)を単独または併用で投与した場合の治療効果を、初期段階の代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)モデルマウスを用いて検討しました。成体マウスに高脂肪/高コレステロール/高コール酸(HFCC)食と1%シクロデキストリン水を自由に摂取させた所、4週間以内にMASLD様の特徴的症状(肝脂肪症、炎症及び限局性線維化)が発現​​しました。そして、顕著な体重減少を引き起こさない用量で食餌に混ぜて各アゴニストあるいはその組合せを投与したところ、併用療法中の各アゴニストの血中濃度は単剤療法中の血中濃度と同程度で、そして肝臓の組織学的解析では、Pioglitazone単独、Pemafibrate/Seladelparの組み合わせ、または3アゴニスト混餌で、線維化が改善されていました。肝臓における炎症・線維化マーカー遺伝子の発現解析では、PemafibrateまたはPioglitazone単独、または2剤のいずれかの混合で、これらの遺伝子の発現レベルが低下していました。 さらには、MALDI質量分析イメージングにより、MASLDを発症したマウスの肝臓に特定のトリグリセリド分子種が蓄積しており、Pioglitazone単独投与またはSeladelpar/Pioglitazone併用投与によって、これらの蓄積が減少していました。総合的に判断すると、Seladelpar/Pioglitazone併用が、MASLDの初期段階に対する有望な治療選択肢と考えられました。既存の承認済選択的アゴニストの併用も、MASLD治療の選択肢の1つとなりうることを初めて提案しました。なお本論文は、筆頭著者の大学院生本多彰宏(現当研究室特任助教)の学位論文の1つです。

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