本学教授が新入生に薦める本
新入生諸君、昭和薬科大学にご入学、おめでとうございます。これから6年間の長い大学生活は、最初は緩やかですが段々と専門性も高くなり、また生活も忙しくなってきます。
一年生の間は比較的時間がある時期ですから、皆さん大いに考え、悩み、楽しんでください。
さて、この世界の先輩達である教授達から、そういった若い時期に読む本を推薦していただきました。薬学部の大きな特色は、小さな所帯に実に多彩な専門を持つ先生方が揃っている点です。推薦図書として挙げられている本もまた実に多彩です。その中でも本学の図書館をはじめ、入手がしやすいものを挙げていただきました。興味を持った本を是非一つ二つ手にとって読んでみてください。
これらの推薦図書は、図書館 書架No. 11 にまとめて配架してあります。
書名をクリックすると所蔵詳細画面へ移動し、貸出状況を確認できます。(貸出中であれば予約をかけることが出来ます。)
推薦者 (五十音順)
- 「ストロング・メディスン」、アーサー・ヘイリー(著)、永井淳(訳)、新潮社(出版)
この本は二十数年前に出版された米国の製薬業界の人間像を描いた作品で、
主人公の女性がMRとして入社し、最後にはCEOにまで上り詰めるサクセスストーリーだが、
物語の中心になるのは企業倫理の問題で、薬の開発(創薬)の過程で会社の利潤追求と
副作用の狭間で悩む主人公の心の葛藤がシリアスに描かれている。サリドマイドなどの実際に起こった
薬害の問題が思い起こされて、薬学に身を置く人には考えさせられるテーマである。
これから薬学を志す若者にお勧めの一冊であろう。
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- 「血液の事典」、平井久丸、押味和夫、坂田洋一(編著)、朝倉書店(出版)
血液に関係した疾病の症状、病理、病態などが事典形式でわかりやすく記載されているので、それらの疾病の調査に役立ちます。
- 「血栓症ナビゲーター」、池田康夫、内山真一郎、後藤信哉、重松宏、半田誠(編著)、メディカルレビュー社(出版)
血栓症は心筋梗塞や脳梗塞に代表されるが、その他にも多くの疾病が分離されている、それらの疫学、診断、病態、予防、治療、治療薬、などが整理されており調査研究に有用です。
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大学入学まで生物学を学ばなかった学生さんにもすでに高校で生物学を学んだ学生さんにもわかりやすく、またある時は専門的に書かれている細胞分子生物学の本です。最新の細胞分子生物学についてもたくさん書いてありますので、是非一度目を通して昨今の生物学の進歩を味わってください。
- 「細胞の分子生物学 第5版」、中村桂子・松原謙一(監訳)、NEWTON PRESS(出版)
細胞生物学、分子生物学のバイブルとも呼ばれる本です。図や絵が多く、わかりやすく書かれています。将来生物系大学院に進学を目指す学生さんは、必ず愛読しています。
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日常生活を有意義に過ごすために、健康・体育・スポーツ・運動を考察する上で大いに参考になる書物です。ぜひ一読することをおすすめします。なお、一般社会では入社試験等で出題される社会学系のバイブルです。
- 「ホモ・ルーデンス (中公文庫)」、ホイジンガ(著者)、高橋英夫(訳者)、中央公論社(出版)
遊びを文化、言語からとらえ考察している。現代社会と遊び、スポーツを考察する上での社会学としてのバイブル。体育の講義でも取り上げているので、ぜひ読んでほしい。
- 「遊びと人間 (講談社学術文庫)」、カイヨワ(著者)、多田道太郎(訳者)、講談社(出版社)
遊びの定義をし、遊びを4つの分類をしている。現代社会の遊びとスポーツを考察する上で社会学見地からの検討をする上でのバイブル。体育の講義でも取り上げているので、ぜひ読んでほしい。
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面白い本や感銘した本を読んだ時って、誰かにそのことを話したくなりますよね。そんな本を以下に紹介します。
- 「生命をつなぐ進化のふしぎ −生物人類学への招待 (ちくま新書)」、内田亮子(著者)、筑摩書房(出版)
食べる、みんなと生きる、連れ合う、育つ・育てる、老いと言ったテーマについて、いろいろな研究の成果をわかり易く、人の進化との関連を解説していま
す。わかり易く説明しようとするあまり、科学的な視点からちょっと外れることもありますが、読みやすく、面白い本だと思います。
例えば「それぞれの動物群内で雌雄のつがい(ペア)がユニットとなって生活している種が他よりも身体の大きさに比して顕著に大きな脳を持つ傾向が明らかになったのだ。鳥類
では、単年でつがいになる種よりも、何年にもわたってつがいを続ける種の脳の方がさらに大きい。 」といった研究が紹介されています。何年にもわたっ
て、つれあい、寄り添い続けるにはそれなりの知恵が必要で、脳が大きくなったと言うことを意味しているのでしょうか。
またホモ・サピエンス(ヒト)に特徴的な「おばあちゃん仮説」についても解説されています。祖母は、子や孫の生存を助けることで、子や孫と共有する遺伝子の複製の確率を高め、血縁の
繁栄に貢献すると言うものです。確かに我が家でも、おばあちゃん(とおじいちゃん)にはいつもお世話になっています。
- 「科学者たちの奇妙な日常 (日経プレミアシリーズ)」、松下祥子(著者)、日本経済新聞出版社(出版社)
著者は日本大学文理学部専任講師(現在は東京工業大学准教授)で、人気のブロガーです。研究とは何で、研究者とは何をしている人なのかをわかり易く、
軽妙なタッチ(まさにブログのような)で書かれています。皆さんもいずれ、本学の研究室に出入りすることになりますが、本書を読むことによって、研究室というものがより一層身近になるでしょう。
- 「国家の品格 (新潮新書)」、藤原正彦(著者)、新潮社(出版社)
最近、中国、インドなどの新興国の発展を横目で見ながら、 日本という国自体が自信を失い、退潮ムードになっていませんか。そんな自信と誇りを喪失しか
けている我が国の国民に向けた著者からの提言が綴られています。
本書のタイトルを見たときは、どうせ頑固親父みたいな人が「最近の若者は、・・・・・。」ということを書き綴っているのかと思い、あまり読む気にならなかったのですが、
いざ書店で手に取り、立ち読みしてみると、1分半ぐらいでレジに並んでいました。タイトルは堅いですが、著者の巧みな文章力もあってか、
読んでみて難解な印象は受けませんでした。読後に、日本人として一生懸命仕事をして、世界の人々の役に立とうという気持ちにさせられます。
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我々は読書から多くの知識を得ることができます。結果として読書は人生を豊かにしてくれますので、学生時代に様々な分野の多くの書籍を読むことを勧めます。
- 「赤ひげ診療譚(新潮文庫)」、山本周五郎(著者)、新潮社(出版)
底辺の人間と辛苦をともにしながら施療一筋に生きる赤ひげと若き医生との魂のふれあいを描いている。医療に携わる人間の原点を垣間みるようである。
- 「大地 (新潮文庫)」、パール・バック(著者)、多田道太郎(訳者)、新潮社(出版社)
極貧の暮らしから粉骨砕身の努力によって一代で巨万の富を築いた人間の子孫が自由奔放な生活で衰退していく栄枯盛衰の物語である。著者は、この作品でピューリッツアー賞とノーベル文学賞を受賞している。
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私自身の経験ですが、長い人生の中で、本(文字)を読むことで人間形成に大きな影響を与える時期は、高校生から大学生の間だと思っています。高校3年生の夏休みに、新潮社が推薦した100冊の文庫本の中の20冊を買ってきて、貪るように読んだことが、今の私を作ってくれたような気がしています。そのせいで浪人をしてしまいましたが...(笑)。高校生活、浪人時代、大学生活を通して、恋愛小説、推理小説、人生の達人の随筆など、本屋でタイトルを眺めて興味の有る本は何でも読みました。思わず声を出して笑ってしまったこと(遠藤周作の随筆集など)、主人公と同化してヒロインに胸を焦がしたこと、今思い出しても当時の気持ちが蘇ってきます。「ロミオとジュリエット」は映画を見た直後、立て続けに2回読み直しました。
薬学は理科系ですが、薬剤師は文科系の要素も求められます。あえて違った分野の書籍を活字で読むことは、バランスのとれた人間形成にとって意味の有ることだと思います。沢山の本の中から、一生涯記憶に残る本との出会いがあることを祈っています。
- 「ロミオとジュリエット (文庫版)」、ウィリアム・シェークスピア著(中野好
夫訳)、新潮文庫(新潮社)
永遠の名作。説明不要、先ず読んでみて下さい。
- 「壬生義士伝 (文庫版)」、浅田次郎著、講談社
極度の貧しさ故に脱藩し、新撰組隊士となって家族の生活を支えた元南部藩浪士吉村貫一郎野の生涯を描いた歴史小説。「大人の見識」(阿川弘之/新潮新書)や「国家の品格」(藤原正彦/新潮新書)と読み合わせると、現代の日本人が忘れかけている幕末から明治にかけて生きた日本人の心、あるべき姿が伝わってきます。
- 「女たちよ! (文庫版)」、伊丹十三著、新潮社
残念ながら亡くなってしまいましたが、私の好きな作家の一人です。いろいろなことに興味を持ち、それを紹介する表現が何とも言えぬ面白さがある人。ちょっと見は軽い内容と思われがちですが、鋭い洞察力と、本人の優しさが溢れています。
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新入生の皆さんご入学おめでとうございます。また、在学生の皆さんもそれぞれ新学期を迎え、気持ちを新たにしたことでしょう。
大学の6年間は長いようで過ごし方によっては短いものです。新入生と下級年次の学生はこれから勉学だけでなくいろいろなものにチャレンジできます。
失敗を恐れずに取り組むべきです(軽い失敗により抵抗力をつけるべきです。無論、悪い事はいけません)。
上級生はそろそろ社会にでる心構えを養う時期です。
他の先生方がそれぞれ良書を御推薦されると思いますので、私は皆さんにすぐに役に立ちそうなものを選びました。
- 「知のツールボックス」、専修大学出版企画委員会(編)、専修大学出版局
(出版)
新入生あるいは下級年次の学生向けです。大学の講義はこれまでの授業とはまったく違います。
このため多くの新入生が戸惑うのを見てきました。
大学が出版したことは本学だけではなく、多くの学生が戸惑っている事が分かり、妙に安心したものです。
これを読むと大学での勉強方法が分かります。
下級年次の学生にもまだ間に合います。全部を詳細に読む必要はなく、時間がない人は「序」だけでも読むべきです。
- 日本経済新聞 ※学習室にあります
上級生は必ず読むべきで、今からなら習慣になります。大学入試のための
○○新聞だけでは就職時、社会に出てから困ります。医療・薬・病気・化学・
サイエンス・製薬会社・病院・薬局などのキーワードが目に入るようになります。
経済の記事だけでなく連載小説もありますし、多くの連載記事は役に立ちます。
新入生は読みやすい記事の拾い読みから、毎日始めるべきです。
- 「西郷隆盛伝説」、佐高信(著)、角川学芸出版(出版)
西郷隆盛伝説とあるが、幕末から明治にかけての東北の諸藩および人物について書かれています。
大河ドラマの坂本竜馬が話題になったようですが、一人の人物を通じて歴史の一方側からのものでしょう。
ドラマとしては結構なのですが、歴史的に面白くないとか複雑な思いの方々も多かったと思います。
この本を読んで多方面から物事をみるようにしましょう。
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皆さん大学という最高学府に入学されて、これからいろいろなことを学んでいくための手助けとなる本に出会えたら素晴らしいと思います。
- 「思考の整理学 (ちくま文庫)」、外山滋比古(著)、筑摩書房(出版)
京大生や東大生に最も読まれている本という帯が付いていたので、私も最近初めて読んでみました。少し古いのでウーンと思うところもありますが、なるほど!と思うことが大変多かった本です。昭和薬科大学生も是非読んでみてください。
- 「理系のためのサバイバル英語入門 勝ち抜くための科学英語上達法(ブルーバックス)」、東大サバイバル英語実行委員会(著)、講談社(出版)
理系の学生としては、英語も大事です。
- 「理系のための研究生活ガイド 第2版 テーマの選び方から留学の手続きまで(ブルーバックス)」、坪田一男(著)、講談社(出版)
将来、研究のほうにも興味があるという人にはお勧めです。
このほかにも講談社ブルーバックスにはいろいろな医療系、薬学系、生物系、化学系の本がありますし、他社の新書版にも専門的な内容を一般向けにわかりやすく書かれた本があります。書店や図書館で眺めてみて興味を持った本をどんどん読むことをお勧めします。(図書館注記:その他のブルーバックスは、書架No. 59にまとめて配架されています。)
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- 「医薬品天然物化学」、Paul M Dewick(著)、海老塚豊(監訳)、南江堂(出版)
Paul M Dewick 、 Medicinal Natural Products の訳本です。天然物化学を扱う本は沢山あるが、本書は特に薬学部の学生向けに書かれています。
新入生諸君にはまだ難しいかも知れませんが、コラムが沢山載っています。コラムだけでも読んでみましょう。
例えば、牧草アルファルファの成分を基に、血栓症治療薬のワルファリンがどのようにして開発されたのか。タキソールと言う抗がん薬の事など、
国家試験にも役立つ事が載っています。
- 「滅びゆく日本の昆虫50種」、朝比奈正二郎(編著)、築地書館(出版)
日本には多くの固有種が分布している。近年生育・生息環境の悪化、環境保全の欠如、乱獲などの影響で、多くの種が絶滅し、あるいはその危険にさらされている。少し古い本で あるが、日本のアマチュア昆虫研究家が絶滅危惧種50種を選んで紹介している「わかりやすい日本版レッドデータブック」の昆虫編です。
著者の一人に元日本鱗翅(蝶や我の仲間)学会会長の高橋真弓氏がいます。私は高校生時代にフィールドワークを通して昆虫学、植物学を高橋先生から学びました。その時の知識がベースとなって今日の私があります。かつては日本中どこでも見られたオオウラギンヒョウモンは現在では鹿児島県の一部にしか棲息していません。この本を読んで、地球温暖化や環境問題等も考えてみましょう。
- 「群青 日本海軍の基礎を築いた男 (文春文庫)」、植松三十里(著)、文藝春秋(出版)
第28回新田次郎文学賞作の文庫版です。
勝海舟のライバル、徳川幕府海軍最後の総裁、矢田堀景蔵の生涯についての歴史小説です。
植松氏は陰に隠れた歴史上の人物を発掘する小説家です。ペリー総督の生家のあるロードアイランド州ニューポート近くに7年間暮らした経験からか、他に『黒船の影』PHP文庫などもあります。
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大学生になった皆さんは、シラバスに基づいて自主的に学習していくことになります。
活字離れが社会問題化されている現代ですが、学習の一環として、また気分転換として
ぜひ、新聞や書籍・教科書等の文字媒体を読むことに時間を割いてほしいと思います。
- 「煩悩クリニック(中公文庫)」、渡辺淳一(著)、中央公論新社(出版)
恋愛文学の巨匠である著者が、生と死、現代の医学、男女のありかた、老後の生きかた等について考察しています。これから薬学を学ぶ人にとっても、実に興味ある話題だと思います。
- 「英語のニーモニック〜円周率から歴史年号・イギリス王室まで〜覚え歌大集合」、友清理士(著)、研究社(出版)
ニーモニックとは記憶を助けるさまざまな工夫のことで、ごろ合わせもそのひとつ。ひとつの項目は5〜10分もあれば読めます。化学編、医学編もあります。
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- 「子どもの宇宙 (岩波新書)」、河合隼雄(著)、岩波書店(出版)
この本は、ひとりひとりの子どもの中には宇宙がある、という書き出しで始まります。大人は教育や指導と称して、子ども達の中にある広大な宇宙を歪曲したり、破壊したりしてしまう。しかし、中には子ども達の発信に耳を澄ますことで、子どもの宇宙の一端を垣間見ることができる大人もおり、そういう人は子どもの宇宙を探索することで自分自身の忘れていた宇宙を思い出し、新たな発見をすることができるというのです。「子どもと家族」、「子どもと老人」、「子どもと死」などのテーマに沿って、児童文学作品や子どもたちの詩、あるいは臨床場面の治療過程で起きた出来事を取り上げながら、子どもたちの宇宙の素晴らしさが記述されます。
秀逸なのは「子どもと秘密」の章です。秘密を持つことは人の成長過程や発達において、非常に重要な事柄であり、「秘密を持った人」として尊重されることで、子どもは初めて一個の人格として扱われていることを実感することができるというのです。自分自身の幼少期を振り返っても、ちょっとした小さな秘密であっても、家族や友人と打ち明けあったときの一体感、あるいは「絶対に誰にも教えられない」という状況の持つ、不思議な高揚感や誇らしさを思い出すのではないでしょうか。大人への入り口に立つ新入生が大切なものを振り返り、確認して、また前に進むのに役立つ一冊だと思います。
- 「『痴呆老人』は何を見ているか (新潮新書)」、大井玄(著)、新潮社(出版)
著者の大井先生は、アメリカで血液学の臨床医として勤務後、帰国、長野県佐久市で高齢者医療に携わり、終末期医療に関する著作も多数あります。もとは衛生学を専門とされ、環境研究所の所長も務められました。本書は佐久市での経験、沖縄や東京都での調査や臨床経験に基づいて書かれています。
彼は痴呆から認知症と改められた名称について、異議を唱えます。名称が嫌悪感や侮蔑感をもたらすのではなく、病気についての印象そのものがネガティブな感情と結びついているのだから、単なる名称変更は意味がないと言います。その上で、痴呆は中心症状と周辺症状に分けることが出来、周辺症状は周囲の人間関係など環境への不適応によって生じてきていることが多く、従って、敬老思想が行き渡っている沖縄の村では周辺症状の少ない、穏やかな痴呆状態が多く観察されると指摘しています。
本の中に施設に入所した認知症患者たちが集まって会話している様子の描写があります。おのおのが勝手な話をしているのに、微笑んだり、相槌を打ったり、まるでほんとうの会話が成立しているように見える状況は「偽会話」と呼ばれます。コミュニケーションとは意味を伝え合い、その理解を通して、相互交流するだけではないとされます。偽会話ではその場でやり取りする中で「楽しい」という気持ちを感じることが、「親しい関係」作りに役立っているのだと解説されます。
楽しい気分を分かち合い、つながりを感じることは、生存にとって非常に重要であり、そうしたつながりを皆さんも学生生活の中で見出していけるといいですよね。
- 「心を生みだす遺伝子 (岩波現代文庫)」、ゲアリー・マーカス(著者)、大隅典子(訳者)、岩波書店(出版)
タイトルをみると、まるでヒトの心の働きに関わる遺伝子に関する固い本のように感じます。しかし、著者は一貫して、「氏か育ちか」つまり、遺伝子か環境要因か、どちらに決めることはできない、ということを面白いたとえ話満載のやわらかな語り口で述べています。私が学生の頃に比べると、「氏も育ちも」という考えに賛同する人が着実に増えていると思いますが、このテーマは科学者たちが今でも大真面目に論争している深遠なテーマでもあります。
心に関する研究が飛躍的に進んで、心理学や精神医学の分野でもそうした科学的知見に基づいた診断法や治療法が広く用いられるようになって来ました。それでも、つい心はからだの中では特別な神秘的なもの、という考えに傾きがちですが、著者は心は脳の働きに基づくもので、からだのほかの部分と少しも変わりはしないと「レシピとしての遺伝子の働き」について、わかりやすく説明しています。
2005年にハードカバーで出たこの本は昨年文庫版になり、一層手に取りやすくなりました。しかし、本の厚みの約4分の1は引用文献リストになっており、人が生涯にわたって遺伝子の働きと環境の影響を受けながら、学んだり、変化したりしていくプロセスを深く知ることができる専門的な本でもあります。
訳者の大隅典子先生は東北大学の教授で、チャーミングな女性サイエンティストとして人気ブログを連載中の方であります(http://nosumi.exblog.jp/)。将来女性科学者を目指す女子学生のみなさんは訳者のあとがきにも刺激を受けるはず。少し時間をかけてじっくり読みたい一冊です。
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大学での研究がどのように人類のためになるのか、少し感じてください。
- 「NO(一酸化窒素)でアンチエイジング ノーベル賞博士が書いたやさしい健康の本」、ルイス・イグナロ(著)、日経BP企画(出版)
超高齢化社会を迎えた日本において、大切なキーワードは何でしょうか。アンチエイジング?健康長寿?ところで、一酸化窒素(NO)は、重大な環境汚染物質の1つです。
著者のイグナロ博士はこの身の回りでは有害なNOが身の内では、心臓・血管の健康に重要な信号伝達分子であることを発見され、
1998年ノーベル医学生理学賞を受賞されています。
この本では、薬学士でもある博士がNOによって心血管病を回避し、天寿が訪れるまで健康長寿を楽しんでみようとのメッセージを分かりやすく伝えています。
2008年に博士は本学で講演をされ、学生の皆さんはe-learningシステムで視聴することが出来ます。
皆さんの将来の可能性の1つに研究者を加えてみてはいかが?
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